ちょっと節穴

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『ブラッククランズマン』ネタバレ感想

スパイク・リー監督の映画は『ゲット・オン・ザ・バス』と『セントアンナの奇跡』しか観ていないので、あんまり彼の主義主張に詳しいわけではありません。でも『ゲット・オン・ザ・バス』と今回の『ブラッククランズマン』の作風から、なんとなくわかったことがあったので書いてみようと思います。
 
ゴリゴリの左派と言われていますが、意外と目線はフラットな人。というのがスパイク・リーの印象です。「人種より個人」みたいな。
 
『ゲット・オン・ザ・バス』は、ワシントンDCで行われるアフリカ系アメリカ人の人権パレードに参加するために同じバスに乗った人々の人間模様を描いたロードムービーです。
この話で一番印象に残っているのが、「経済的にとても成功していて、自分もアフリカ系であるにも関わらずアフリカ系の人から搾取することになんの疑問も感じていない人」の存在です。このキャラクターは途中で「俺も仲間に入れてくれよ」と言いながらバスに乗ってくるのですが、そのあまりに傲慢かつ「(俺以外の)アフリカ系アメリカ人の人権? なくてもいいっしょ」的な態度にみんながブチ切れ、結局バスを追い出されます。
 
 
一方の『ブラッククランズマン』にはKKKブラックパンサー、二つの「人権団体」が登場します。で、どっちも実は似たような主張をしているように描いてあります。
 
KKKの方は本当に分かりやすく、「WASP(白人・アングロサクソンプロテスタント)以外は人間じゃないから人権など認めなくていい」。
一方のブラックパンサーの主張は「アフリカ系アメリカ人の人権を認めろ、社会による不当な弾圧を許さない」までは当然のことなんですが、「白人の警官は全員差別主義者であって敵。殺しちゃっても問題なし」みたいな感じになっていきます。
 
で、主人公は自分もアフリカ系だし、最初はブラックパンサーに共感しているのです。でも警察官として白人社会で生きていくうちに信頼できるヨーロッパ系の仲間もできて「結局人種じゃなくて個々人の問題じゃん」と思うようになっていきます。なので、ブラックパンサー的な考えとの間に距離を感じるようになります。で、彼は彼なりのやり方で差別と闘っていくことにします。
 
人種や性別といった条件のみで人間を判断することほどアホらしいことはないと常々思っているので、こういう目線はとても共感できます。
そう、人種もですが、性別もそれだけで相手を判断すべきではないと常々思っています。
この映画を観て、主人公が「黒人にはこんな難しい仕事無理に決まってんだろ!」とか言われてもグッとこらえてるのを見て「本当に人種差別は最悪だ」と思う男性がたくさんいることでしょう。でもそう考えられる男性全員が「女性も男性と同じくらい仕事ができる」と考えられるかと言えば恐らくそうではありません。悲しいことにね。なのにこの映画でも特攻をやらされるのは女性なんだよなぁ。
と、観ていて結構壮大な人権問題の映画なんだなぁと思いました。
 
あと、この時代の人種差別に対する告発というよりかは、「現代アメリカ」に対する告発映画という印象を受けました。
 
映画全体をうっすらとトランプ政権批判が覆っているのは感じていましたが、ラストの怒涛の流れよ!
 
社会派の映画ではありますが、娯楽作品としても普通に楽しめる映画だったと思います。